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坂本 トオル さんの日記。(1ページに5件ずつ表示)
いた車に恋い焦がれて・第1回
(この日記を単独表示)
07/11/30 23:07(1196431650)
こっちでは唐突ですが、mixi、アグリ場、F組の三箇所同時連載開始です。
バイク関連は「である・だ」口調の方が書きやすいので、以降この連載ではそっちで行きます。
【COLNAGO Master X-Light '06 (LX10 color)】(ノンカタログモデル)
<"COLNAGO"ブランドの紹介>
あなたは、新聞かなにかで「フェラーリの自転車」のニュースを目にしたことはないだろうか?
「じてんしゃ」の分際で100万円するというアレである。
その「フェラーリの自転車」を製作しているのが、イタリアのCOLNAGO(コルナゴ)である。
多くの自動車ブランド発のバイクが、ファッション的な実戦に堪えないモデルにとどまるのに対し(かの「ポルシェの自転車」ですらそうだ)、この「フェラーリ・バイク」はスポーツバイクとしても充分実戦に堪えうるポテンシャルを有している。
それはひとえにコルナゴの持つ豊富なノウハウによるところが多く、ゆえにバイクを知る人々からはかのモデルは「コルナゴ・フェラーリ」と呼ばれたりもする。
エルネスト・コルナゴが興した、イタリアではありふれた自転車工房であったコルナゴは、かの「史上最強の自転車選手」エディ・メルクスとの密接な関係によってその地位を確たるものにした。
(その後両者の関係は悪化し、メルクスは現在コルナゴと並び称されるデ・ローザとの関係を深める)
したがってそのバイク作りの哲学は「レースで勝てるかどうか」の実戦一本やりであり、レース・シーンに持ちこめば乗り手の要求にどこまでも応えるポテンシャルを持ちえる一方、ファンライドでは癖のある乗り味が時に快適さをスポイルする。
戦いに赴く体力も技術も、ましてや覚悟もない人間が気軽に手を出すと、痛い目にあう類のメーカーのひとつである。
一方でコルナゴは「レースで勝つために」新しい技術の吸収に貪欲であり、特徴的なストレート・フォークにはじまり、カーボン素材、異形断面や双胴のフレームなどを早くからトライしてきた。
同じく実戦を志向しながら、ライバルのデ・ローザがかなり長く古典的な形を保ってきたのとは対照的である。
前述のフェラーリとのタイアップも、コルナゴにとっては「カーボン加工技術の研究」という重要なテーマを帯びており、単なるブランド宣伝ではない。
そのコルナゴ・フェラーリも現在は快適志向にシフトし、コルナゴとしても一般ライダーのために快適性を考慮したモデルをラインナップせざるを得ないのが現在の自転車市場であるが、その中核には今もなお絶えることなくレーシングスピリットの火が灯っているのである。
<"Master X-Light"の紹介>
コルナゴのクロモリ(鉄)フレームの中核を担うのが"Master"モデルである。
"Master X-Light"は時代とともに高まる要求に応え、チューブの素材・肉厚・形状を工夫し、戦闘力を保ちつつも軽量化への工夫を凝らしたラインナップだ。
とはいえ90年代末から21世紀に入るとアルミ・カーボン等の新素材開発が進み、特に軽量さでハンデを負う鉄フレームは日陰の存在となっていった。
"Master X-Light"もその例にもれずカタログラインナップから外れ、"Master"の名はリア周りをカーボンとした"Master Carbon"が担うこととなった。
しかし近年、あまりにも戦闘力が高まりすぎたゆえに一般ライダーを受け付けなくなってしまった「ロードレーサー」に対し、シェルエットを保ちつつもホビーライダーに配慮し快適な乗り心地を志向した、いわゆる「グランフォント」が普及してゆき、また伝統的な鉄フレームを懐かしむファンの声もあって、独特の「優しい」乗り味を持つ鉄フレームが再び市民権を得つつある。
コルナゴとしてもこうした要望に配慮し、2007年に"Master X-Light"を快適性を志向したモデルとして復活させたのである。
とはいえそれはあくまで現代の基準で見た場合で、コルナゴのレーシングスピリットを受け継ぐ"Master"は、その本質的には純粋なるコンペティション・モデルといえよう。
…というわけで、紆余曲折を経てようやく私のもとにフレームが届いた。
さて、このMaster X-Light。
'06、つまり2006年モデルである。
ここで一旦戻っていただいて。
Master X-Lightカタログラインナップ復活は2007年となっている。
つまりどういうことかというと。
コルナゴとしてもこのモデルの製作(あえて「生産」とは言わない)を完全に止めることはなく、Master X-Lightを知る顧客からオーダーが入るたびに、少数ながら製作を行っていた。
当然昔ながらの「工房」で、本場イタリアの職人の手によって、である。
いわば料亭なんかの「裏メニュー」というべき存在である。
規格に従った「生産品」ではないから、一本一本微妙に仕様が異なったりもする。
そのうちの一本を昨年mixiコルナゴ・コミュの方から紹介していただき、幸いサイズもばっちりだったので、紆余曲折を経てこのたびめでたく入手するに至った。
もちろん飾って眺めるためではなく、しっかり「乗れる」一台に仕上げる予定だ。
今後しばらく、この個体の持つ個性と一台の「ロードレーサー」として組み上げていく過程を、様々な変態写真を連ねつつ心のおもむくままに語っていきたい。
とりあえず現物を見た第一感は、紹介された写真での姿よりもはるかに「実戦的」だ。
「美術品」とか「工芸品」ぽく見えるのは多分に塗装やメッキ加工によるところが大きく(この"LX10"カラーも、カタログにはない特注オーダーである)、とくに末端部のつくりなど驚くほどがっちりしている。
このへん私の撮った写真で表現できていればいいが。
いざモノが来てみて、「これはカラダ鍛えてしっかり乗らねば」との思いをますます強くした、2007年初冬である。
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