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坂本 トオル さんの日記。(1ページに5件ずつ表示)

数字を読み取る(この日記を単独表示)08/01/10 17:43(1199954559)
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 のんびりしている間にもう完成車上がっていたりする。
 お披露目は今しばしお待ち願いたい。写真も撮ってないし。
 で、今回は専門知識がない人にはサッパリな、スケルトン編。
 多分に自己満足だが、そもそもこのシリーズがそうだから了解してお付き合い願いたい。

 さくさくとメジャーと水準器あててみて図面におこしてみた。
 元図は昔のブリヂストン・ネオコット"RESISTANCE"をオーダーしたときにもらった図面。
 自力で図面引くと破滅的なことになるのでご容赦を。
 数字は黒字が実測値、赤字がカタログ値。
(カッコ書きはカタログに記載がなく、他のサイズから推計した値)
 以下、なるべく一般の方にも理解いただけるように注釈を加えつつ解説していこう。
 なお、単位は特記していないかぎりmmとなる。

●シートチューブレングス(SL)
 スポーツサイクルのサイズの基準となる値であり、したがって単にフレームサイズとも言われる。
 基本はライダーそれぞれの体格に合わせるところだが、メーカーやバイクのグレードにより、粗いサイズ分けしかしていなかったりもする。
 その場合も含め、後述のトップチューブレングスや個人のスタイルと相談して、大き目を選んだり小さ目を選んだりする。

 しかし490mmというのは、もはや27インチロードレーサーが成立する下限である。
 特に欧州メーカーでは、このサイズを成立させるノウハウは持っていなかったりする。
 したがってスモールライダーである私には選択の余地がない。

●トップチューブレングス(TL)
 SLと並んでサイズの基準となる値。
 最近はスローピングフレームが主流となったこともあり、むしろこちらを重視する傾向にある。

 実測値とカタログ値で誤差が生じているが、計測はチューブの中心を勘で取っているのでたぶんカタログ値が正しい。

 いずれにしても、ほんとうはトップチューブはもう少し短くなってほしいところだ。
 これはコルナゴにかぎらず、国産含めどのメーカーも、小さいサイズではトップチューブレングスは「理想」より長い。
 後述のフロントセンターを確保するための、苦肉の策である。

●シートアングル(SA)
 バイクの機敏さと快適性に関係するところ。
 アマチュアのロードバイクだと74゜を基準に、立てると瞬間最大出力重視、寝かせると長距離快適巡航重視となる。
 昔のプロでは200kmオーバーの距離を走りきるため、72゜とかもっと寝かせた例もある。
 レース距離が短くなった今のプロがどうなのかは知らない。

 ここもやはり小さいサイズでは「理想値」からかなり立った値になってしまう。
 やはりフロントセンターと、さらにはリアセンターとの前後バランスを考えていくと、どうしようもないところである。

●ヘッドアングル(HA)
 ステア応答性と直進安定性に関係する。
 だいたい72゜〜73゜くらいの範囲で、立てるとステア応答性重視、寝かせると直進安定性重視となる。
 ただしヘッドアングルで調整するステア応答性は、「コーナーリング」よりも「レーンチェンジ」的なシチュエーションで効いてくる。
 いわゆる「コーナーリング特性」には、後述のホイールベース、フロントセンター、リアセンターといったあたりが重要となってくる。

 実測値とカタログ(推計)値で誤差が生じているが、こちらは図面をいいかげんに引いたため、たぶん推計値の方で誤差が出ている。

 どちらにせよ、同じくフロントセンター確保のため、小さいサイズでは寝ぎみになってくる。
 さもなければ後述のフォークオフセットを大きく取るかだが、コルナゴは前者を選んだようだ。
 逆に大きなサイズだと、フロントセンターが長くなりすぎることを防ぐため、ヘッドアングルを立てる例も見られる。


●ホイールベース(WB)
 バイクのコーナーリング特性と直進安定性に関わってくる。
 短ければコーナーリング重視、長ければ直進安定性重視と分かりやすい。
 ただし、あまり大柄な人が短すぎるホイールベースのバイクに乗っても不安定になるところ。

●フロントセンター(FC)
 先ほどから散々話題になっている値。
 かの市川雅敏氏は、「フロントセンターは580mmは欲しい」と語った。
 その理由は、完成車編で写真にしてお見せしよう。
 これはもうぐだぐだ長文連ねるより、写真を一度見てもらったほうが早い。

 そういう事情を除けば、フロントセンターはバイクのコーナーリング特性に関係してくる。
 短ければクイックでオーバーステア傾向、長ければ直進安定性が強くアンダー傾向となる。

 以前の連載でも述べたとおり、コルナゴはフロントセンターを意図的に長く取っている。
 私も何台もロードバイクを乗り継いできたが、585mmなんて値は初めて見た。
 話先取りしてちょっと乗ったかぎりでは、やはり相当直進安定性が勝っている。

●リアセンター(RC)
 コーナーリングにも関係してくるが、それよりもペダリングへの反応性と長距離巡航性への影響が大事なところ。
 短くするとダイレクトな反応性重視、長くすると長距離巡航性重視となる。
 ただし400mmを下回ると、物理的にリアタイヤをおさめるのが困難になる。

 こちらもかなり短い。395mmというのはFC同様、見たことがない数字である。
 完成車でもリアタイヤはぎりぎり。こちらもあとで写真にしてお見せしよう。
 大体高いグレードのバイクほど、リアセンターは短くなる傾向がある。
 やっぱり昔のプロだと、リアセンター420mmなんて話も聞いたりするのだが。

●フォークオフセット(FO)
 実測はうまい手段がないので割愛。
 ステア応答性とショック吸収性に関係する部分である。
 短くすればステアの機敏さ重視、長くすれば直進安定性とショック吸収性重視となる。
 こちらもヘッドアングル同様、「コーナーリング」よりは「レーンチェンジ」に効いてくるところ。

 いい加減しつこいがフロントセンター確保のため、小さいサイズではフォークオフセットを大きく取る。
 しかしコルナゴの値は、標準的なFO(45mm程度)と比べてもやや小さい。
 このへん寝たヘッドアングル、長いフロントセンターと共に、特徴的なストレートフォークが生み出すカラクリである。

●ハンガードロップ(HD)
 ペダリングへの反応性と長距離巡航性に関わるところ。
 だいたい65mmを基準に、小さい値だと反応性重視、大きな値だと長距離巡航性重視である。
 極端な例だと60mmを切ってくることもある。
 推計値はカタログにライドハイト(地上高)の記載しかなく、タイヤの太さをどれくらいに想定しているのか不明なため幅が生じている。
 実測値も計測ポイントを勘で取っているが、まさか4mmもずれていることはあるまい。
 というわけでたぶん61.5mmが正解。

 やはり高いグレードのバイクほど、ハンガードロップは小さくなる傾向がある。
 昔のプロ(略)


 さて、こうして実測するまではけっこう心配していたのだが、少なくともMaster X-Lightに関するかぎり、フレーム寸法はカタログどおり出ているようだ。
 他のイタ車フラ車だと、平気で5mmとか1゜とかずれてたりすることもあるが。

 参考までに、"RESISTANCE"の元図面に、青字で「我が求める理想のスケルトン」をかぶせてみた。
 長文だが比較してみて同じところ、違うところを見比べてみるのもいいと思う。
 参考までに、トップチューブ510mm、シートアングル74゜でも、ぎりぎりフロントセンター575mmの確保は可能と試算が出ている。
 そして私の場合はそれで充分である。
「終の一台」組むときはこれ石橋さんの工房に持っていこうかなw

 ただ、こうした数字ばかりにとらわれてはいけない。
 いざ組んで乗ってみれば、不思議としっかり走ってしかも快適。それが本場のロードなのである。


【次回予告】
 今回入手したコルナゴ・Master X-Lightフレームには、驚愕の事実が隠されていた!
 誰もが眼を疑う光景が今、明かされる!!
 次回、乞うご期待!!!

無二 > 次回も楽しみなのだ〜♪ (08/01/10 23:08)
STEALTH >
無二さま>
 というわけで、衝撃の事実でした〜。
(08/01/11 21:21)

名前
嗚呼伊太利亜車(この日記を単独表示)07/12/16 21:50(1197809450)
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 ちょいとこの年末は悩むヒマもないほど忙しい日が続いているが、結局「嗚呼イタリア車」の特集をやることにした。
 主には全開予告したことが予想通り(笑)トラブって暗礁に乗り上げてることなんだが。
 ともあれ、さくさく行こう。

<写真1>
 ヘッドラグの"COLNAGO"ロゴにフレームの塗料が入りこんでしまっている。
 日本ならこれで塗装後検査ハネられるところ。
 走行性能に関係ない部分での品質の甘さこそ、イタリア車の真髄である。

<写真2>
 専門外の方には分かりづらいか。
 リアエンド後方に、ホイールアライメントを調整するためのネジ穴が空いている。
(スパナの頭みたいなメッキの「持ち手側」の方)
 通常このレベルの高級フレームなら、こんなものは不要のはず。
 実際ショップの人の話でも、付けなくてもまったく問題なく精度は出ているという。
 そしてせっかく手間をかけて空けたネジ穴は、やっぱり塗料で埋まっている。

<写真3>
 フロントディレイラー(変速機)直付台座は高級フレームの証。
 しかしことイタリア製クロモリフレームに関しては、その精度はまったく信用してはいけない。
 エイヤっと手曲げで修正することなど日常茶飯事である。

<写真4>
 BB(クランク軸受け)取り付けネジ山にも、しっかり塗料がかぶっている。
 これまた日本のフレームじゃありえないこと。
 組み付け前にさらうことは必須である。
 ワイヤリードの取り付けネジが飛び出してしまっているのも、組み付け時に気になる。
 ご丁寧にとんがったタッピングビスだし(苦笑)

<写真5>
 ハンガーすぐ後ろには、チェーンステーブリッジと言っていいのか、小さなパイプが付いている固体と付いていない固体がある。
(※下は付いている固体の例。コルナゴ・コミュから拝借失礼)
 リア周りの剛性に微妙に影響するところである。
 コルナゴ・コミュで調べたかぎりでは、2003年モデルには付いており、2006年以降には付いていない。年式による差か。
 2004年と2005年のサンプルがあれば分かりやすいのだが。
 ともかく付いている固体の場合、赤丸内のようにフロントディレイラーワイヤと干渉してしまうことがある。
 個体差により、干渉しないこともある。さすがイタリア製手作りフレーム。
 さらに前のモデルだと、「ここにワイヤを通せ」と言わんばかりの穴が空いていたそうだが。

名前
07/12/09 00:21(この日記を単独表示)07/12/09 00:21(1197127316)
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 間が空いてしまい、失礼してしまった。
 ただでさえ拘束時間長いシゴトの上に、ちと別件でも動いていてさらに余裕なく…。
 その甲斐あって、早ければ明日にも別件のほうを公表できそうだが。

 ともかく、Master X-Light日記第三弾、実戦仕様編である。

<写真上>
 前回もお見せしたストレートフォーク。
「これガツガツ跳ねるんじゃないか」と思う方も多いだろう。
 かく言う私も、昔はこれ見ただけでコルナゴ乗る気にはなれなかった。

 ちょいと回り道して。
 バイクというのはカタチがそのまま構造となる乗り物だから、各部の寸法がとても重要になってくる。
 なので各社とも、寸法を表示した「スケルトン表(ディメンジョン表)」をカタログに載せている。
 しかしコルナゴのスケルトン表にはなぜか「ヘッドアングル(クルマで言う前輪のキャスターアングル)」の記載がなく、他の各寸法から計算してみると、なんだか一般的なロードバイクに比べてやけに「寝た」アングルがはじき出される。
 イタリア車ということもあり、当方このへんかなり疑っていたのだが、入手したショップの人の話によると、この数字は意図的なものなのだそうだ。

 つまりストレートフォークだから、当然ショックはきつくなる。
 そこでヘッドアングルを寝かせて、少しでも路面からの衝撃を逃がす。
 併せてフロントセンターを長く取って、直進安定性と機敏なステア応答性を両立させる、ということだ。

 なにしろ実際組んではいないので脳内推測になるが、こういう設計だとコルナゴは「直進」と「旋回」がクリティカルに切り替わる、けっこうスパルタンな操縦性になるはずだ。
 実際このMasterを紹介していただいた方も、そんな感想を口にされていた。

 なんでヘッド寝かすとスパルタンな操縦性になるかというと、ステアリング軸の「傾き」が大きくなることで、ステア操作に対してフロントの「左右」の動きに加えてタテ方向の「バンク」の動きの割合が大きくなるからである。
 極端な例だと、昔出ていた曲乗り専用の「パナソニック・ロデオ」なんてのがある。

 長々しくなってしまったが、つまりコルナゴ曲げるにはステアに頼ってはダメ、ちゃんとバイクごと傾けなさい、ということだ。

<写真中>
 ようやく次の話にうつって。
 トップ、ダウン、シートチューブのいわゆる「前三角」は単純な円断面ではなく、中央部に溝の入った「丸まった十字型」のような形になっている。
 このへんは各社とも工夫しているところ。素材が鉄からアルミやカーボンになっても変わらない。
 ようは「フレームの重量を減らすため、チューブの肉厚を薄くしつついかに剛性を保つか」ということだ。

 ただ組むときに厄介そうなのが、シートチューブに入った溝である。
 私の場合フレーム一番小さいサイズでギリギリな上、さらにサドル低めなセッティングなのでシートポストはかなり入る。
 しかしこんな「溝」があっては、物理的にシートポストが入らない。つまりサドルを低くできない。
 もちろんDIYでもショップに頼んででも、適切な長さに切ってしまえばいいわけだが。
 ちとひと手間かけることになる。

<写真下>
 先日ヘッド周り写した写真と似ているが。
 今回フォーカスはネジっぽいパーツの付いた部分。
 ギアシフトのワイヤー受けである。
 このネジで多少シフト調整をできたりもするわけである。
 しかしこれはあくまで「シフトワイヤー受け」で、「Wレバー台座」ではない。
 つまり古典的なWレバーの使用は想定していない、現代の「手元シフト」専用設計となっている。
 このへんは現代のフレームといえるだろう。


 次回…は、予定している二つの内容のうちどっちをやろうか考え中。
 ひとつはストレート・フォークのところで触れた、スケルトンの話。
 もうひとつはこのフレームがかもし出す、「ある意味イタリア車らしい」部分の話。
 ちょいと色々抱えてオーバーフローしつつあるお脳で、がんばって考えてみよう。

名前
うつくしき哉伊太利亜車(この日記を単独表示)07/12/02 20:46(1196595974)
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「いた車に恋い焦がれて」第2回。
 今回はこのMaster X-Lightの工芸的な魅力を掘り下げてみようと思う。

<写真上>
 ヘッド周りはバイクの顔。
 コルナゴ・クローバーに、5色のストライプは世界を制した証。
 メッキのラグがうつくしい。
 とはいえラグ形状は、たとえばトマシーニのようなひげ飾りはなく、実戦一点張りである。

<写真中>
 コルナゴのシェルエットに欠かせないストレート・フォーク。
 メッキが施されているが、やはりフロントエンドまで骨太なシェルエットである。
 フォークの形状には標準的な真ん中あたりからカーブを描く形のほか、先曲げ(下端近くだけ曲がる)、ハイラジアス(全体がゆるやかに曲がる)、そしてこのストレートとある。
 変りダネではカーボン加工技術の発達により、波打つS字ベンドなんてのも出てきた。
 ストレート・フォークはフレームの性格にも関わるところなので、近日予定の「戦うフレーム編」でも解説したい。

<写真下>
 トップチューブ左には工房責任者のサインが入る。
 このへんは本場ヨーロッパの高級フレームならでは。

名前
いた車に恋い焦がれて・第1回(この日記を単独表示)07/11/30 23:07(1196431650)
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 こっちでは唐突ですが、mixi、アグリ場、F組の三箇所同時連載開始です。
 バイク関連は「である・だ」口調の方が書きやすいので、以降この連載ではそっちで行きます。

【COLNAGO Master X-Light '06 (LX10 color)】(ノンカタログモデル)

<"COLNAGO"ブランドの紹介>
 あなたは、新聞かなにかで「フェラーリの自転車」のニュースを目にしたことはないだろうか?
「じてんしゃ」の分際で100万円するというアレである。
 その「フェラーリの自転車」を製作しているのが、イタリアのCOLNAGO(コルナゴ)である。
 多くの自動車ブランド発のバイクが、ファッション的な実戦に堪えないモデルにとどまるのに対し(かの「ポルシェの自転車」ですらそうだ)、この「フェラーリ・バイク」はスポーツバイクとしても充分実戦に堪えうるポテンシャルを有している。
 それはひとえにコルナゴの持つ豊富なノウハウによるところが多く、ゆえにバイクを知る人々からはかのモデルは「コルナゴ・フェラーリ」と呼ばれたりもする。

 エルネスト・コルナゴが興した、イタリアではありふれた自転車工房であったコルナゴは、かの「史上最強の自転車選手」エディ・メルクスとの密接な関係によってその地位を確たるものにした。
(その後両者の関係は悪化し、メルクスは現在コルナゴと並び称されるデ・ローザとの関係を深める)
 したがってそのバイク作りの哲学は「レースで勝てるかどうか」の実戦一本やりであり、レース・シーンに持ちこめば乗り手の要求にどこまでも応えるポテンシャルを持ちえる一方、ファンライドでは癖のある乗り味が時に快適さをスポイルする。
 戦いに赴く体力も技術も、ましてや覚悟もない人間が気軽に手を出すと、痛い目にあう類のメーカーのひとつである。

 一方でコルナゴは「レースで勝つために」新しい技術の吸収に貪欲であり、特徴的なストレート・フォークにはじまり、カーボン素材、異形断面や双胴のフレームなどを早くからトライしてきた。
 同じく実戦を志向しながら、ライバルのデ・ローザがかなり長く古典的な形を保ってきたのとは対照的である。
 前述のフェラーリとのタイアップも、コルナゴにとっては「カーボン加工技術の研究」という重要なテーマを帯びており、単なるブランド宣伝ではない。

 そのコルナゴ・フェラーリも現在は快適志向にシフトし、コルナゴとしても一般ライダーのために快適性を考慮したモデルをラインナップせざるを得ないのが現在の自転車市場であるが、その中核には今もなお絶えることなくレーシングスピリットの火が灯っているのである。


<"Master X-Light"の紹介>
 コルナゴのクロモリ(鉄)フレームの中核を担うのが"Master"モデルである。
 "Master X-Light"は時代とともに高まる要求に応え、チューブの素材・肉厚・形状を工夫し、戦闘力を保ちつつも軽量化への工夫を凝らしたラインナップだ。

 とはいえ90年代末から21世紀に入るとアルミ・カーボン等の新素材開発が進み、特に軽量さでハンデを負う鉄フレームは日陰の存在となっていった。
 "Master X-Light"もその例にもれずカタログラインナップから外れ、"Master"の名はリア周りをカーボンとした"Master Carbon"が担うこととなった。

 しかし近年、あまりにも戦闘力が高まりすぎたゆえに一般ライダーを受け付けなくなってしまった「ロードレーサー」に対し、シェルエットを保ちつつもホビーライダーに配慮し快適な乗り心地を志向した、いわゆる「グランフォント」が普及してゆき、また伝統的な鉄フレームを懐かしむファンの声もあって、独特の「優しい」乗り味を持つ鉄フレームが再び市民権を得つつある。

 コルナゴとしてもこうした要望に配慮し、2007年に"Master X-Light"を快適性を志向したモデルとして復活させたのである。
 とはいえそれはあくまで現代の基準で見た場合で、コルナゴのレーシングスピリットを受け継ぐ"Master"は、その本質的には純粋なるコンペティション・モデルといえよう。


 …というわけで、紆余曲折を経てようやく私のもとにフレームが届いた。
 さて、このMaster X-Light。
 '06、つまり2006年モデルである。
 ここで一旦戻っていただいて。
 Master X-Lightカタログラインナップ復活は2007年となっている。

 つまりどういうことかというと。
 コルナゴとしてもこのモデルの製作(あえて「生産」とは言わない)を完全に止めることはなく、Master X-Lightを知る顧客からオーダーが入るたびに、少数ながら製作を行っていた。
 当然昔ながらの「工房」で、本場イタリアの職人の手によって、である。
 いわば料亭なんかの「裏メニュー」というべき存在である。

 規格に従った「生産品」ではないから、一本一本微妙に仕様が異なったりもする。
 そのうちの一本を昨年mixiコルナゴ・コミュの方から紹介していただき、幸いサイズもばっちりだったので、紆余曲折を経てこのたびめでたく入手するに至った。
 もちろん飾って眺めるためではなく、しっかり「乗れる」一台に仕上げる予定だ。


 今後しばらく、この個体の持つ個性と一台の「ロードレーサー」として組み上げていく過程を、様々な変態写真を連ねつつ心のおもむくままに語っていきたい。


 とりあえず現物を見た第一感は、紹介された写真での姿よりもはるかに「実戦的」だ。
「美術品」とか「工芸品」ぽく見えるのは多分に塗装やメッキ加工によるところが大きく(この"LX10"カラーも、カタログにはない特注オーダーである)、とくに末端部のつくりなど驚くほどがっちりしている。
 このへん私の撮った写真で表現できていればいいが。

 いざモノが来てみて、「これはカラダ鍛えてしっかり乗らねば」との思いをますます強くした、2007年初冬である。

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