| いやはや、長らく間が空いてしまって失礼した。 なにしろ上級鈴鹿がタノシクて…N2タイヤにさんざ手こずらされたあとだとS3タイヤじゃ何やってもアウトする気がしなかったり。 それと急遽仕様変更が入ったこともある。これは今回解説する。 さてとコルナゴ完成車編、うつくしさの回である。
バイクの、ことにスポーツバイクの印象を大きく左右するのがチェーンリング。 ここに安っぽいパーツをおごっては台無しである。 現在シマノでは「デュラエース」最高級グレードになっているが、これはプロの大パワーを受け止めるために剛性重視のつくりになっている。 写真1のように、ルックスは実によろしくない。 したがってセカンドグレードの「アルテグラ」を使うことは早くから決めていたが… フレーム入手に手間どっている間に、思わぬいいタマが出てくれた。 それが写真2の「アルテグラSL」。 アルテグラをベースに、軽量化を進めたコンポーネントだ。 軽量化するとなると、チェーンリングもより細身になり、ルックスアップも期待できる。 いざ組んでみると、期待どおりシャープな造形で、クラシカルかつ戦闘的なMaster X-Lightフレームによくマッチする。 事前に気にしていた黒っぽい塗装も、各パーツをより引きしめて見せてくれてかえって良好。
ステム、一般車では「ハンドルポスト」と呼称するハンドルとステアリングコラムを結ぶパーツは探しに探し回った。 現在ロードで一般的なステムは、ステアコラムに対して80°の角度を持っていて、取り付け時にやや前上がりのプロポーションになる(写真3)。 しかしクロモリホリゾンタルのフレームに80°ステムは、バイクの先端だけ前上がりになってしまうスタイリングで非常にうつくしくないと、私は思う。 そこでクラシカルな71°〜73°角のステムを探してみたのだが。 一般車によく使われ、スポーツバイクも昔はこれだった「スレッドヘッド」ステムならともかく、現在スポーツバイクで一般的な「アヘッド(スレッドレス)」ステムで73°というのは非常に数が少ない。 73°アヘッドステムというのは、まさに「過渡期のパーツ」なのである。 しかしなんとか満足できるパーツが見つかった。 写真4のステムの角度は73°。コルナゴはだいぶヘッドが寝ているが、まあ納得できる範囲だ。 余談だが、逆に現在のスローピングフレームに71°〜73°ステムという組み合わせも、前だけお辞儀したようなプロポーションで格好よくないと思う。 要はバイク全体のバランスということだ。
対照的にハンドル本体は現代的な形状。 ただアナトミック曲がりのハンドルは'90年代はじめからあったし、各社工夫をこらしていたので、致命的にバイクのスタイリングを損ねることにはなっていない。 ステムと一体整形とか、極太チューブとかにしちゃうとダメだろうが。 なのでこちらは乗ったときの実用性で選ぶ。 ただオーダー取り間違いで、現在はやや曲がりの大きいものが付いてしまっている。いや間違えやすい型番なのよ…
とはいえ同じく実用的な理由からシフトメカ部を意図的に目立たせたSTI(ブレーキ+シフト)レバーは、やっぱりイマイチ合わないなぁ… 写真3のカンパのレバー(シフトメカを極力目立たせない設計思想)と比較してほしい。
ボトルゲージもバイクの雰囲気に合わせてコーディネイトしたい。 今どきのカーボン製エアロシェイプ(写真3にこっそり)なんてものは、このフレームには致命的に似合わない。 かといってミノウラとかTOPEAKとかの安物も論外。 ステムほどではないがこちらも探し回って、とりあえずの妥協点が写真5上のカタチ。 これでもアルミの太いパイプがだいぶ野暮ったい印象なのだが。 しかし今では細身のステンレスパイプなんて作っているまい、と自分を納得させた。
の、だが…
先日ふらりと↑買ったショップに立ち寄ったら並んでましたよ、注文どおりのブツが(写真5下)。 値段は倍以上でひとつ\3,300ちょいしたんだが、クラッシュ予備を含めて速攻3つ押さえる。 (ちなみにアルミの方も予備含めて入手した。こういうのいつでも手に入るわけではないので…) ついでに重量も公称48g、実測値50gほどで↑の75gより軽い。 二つ合わせて50gの差に\3,600、予備含めれば\5,500ほどの金額は、充分に突っこむ価値があるのがロードバイクという乗り物である。
「二本目」の時から気にしていた'08モデルのシフトWレバー台座だが、mixiコルナゴ・コミュにて'08モデルのWレバー台座仕様が確認された。 未確認情報だが、'07後半からの仕様変更ではないかとのことである。 年度途中にこういうことを断りもなしにやってくるのもイタリアンらしい。 手元シフト専用ワイヤー受けのオプションがあるかどうかは、現在なお確認中である。
最後に今までちょこちょこテスト走行した感想を。 お披露目の時にも書いたが、あきらかに機敏ではないバイクである。 ホイールはじめ各部ベアリングのアタリが出ていなくてドラッグを引きずっていることもあるが、やはり力ずくで踏み抜くような真似をするとこの鉄のフレームはワンテンポ反応が遅れる。 ただし踏み出しで加速力にならなかった何%かのエネルギーは、このしなやかな鉄フレームの中に蓄えられ、そしてそれは乗り手が脚を緩めたあとしばらく放出され続ける。 つまり「ペダルをゆるめても、なおもうひと伸びする」感覚がある。 また純粋な戦闘マシンらしく、低速域では常に重く鈍い印象が付きまとう。 しかしその域を乗り越えて高速域に持ちこむ体力あるいはスキルがあれば、その「重さ、鈍さ」は抜群のスタビリティとなってライダーを高速域に留め続ける。 これまたお披露目に書いたとおり、「その力を持った者のためのバイク」なのだ。
今のところ目に付く問題点は…やはりこの大きなSTIレバー。 実戦面でも、どうにもハンドルの両端に重たい荷物を付けて振り回している慣性が付きまとうステアリングレスポンスは何とかならないものか。 "ZERO"含めてSTIとは無縁の時期が長かったからなぁ… こういうものと納得して慣れるしかないのだろうか。 |
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